『日本漢方』は中国から伝わった医学『中医学』をもとに、
江戸時代から日本独自に発展したものです。
同じように韓国では「韓方」として発展しています。
漢方は植物の根や花などさまざまな部分や、鉱物、貝殻など
自然にある生薬が何種類か組み合わさって出来ています。
中国で最初の薬学書『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』には
「神農が民衆の病気を治療するために多くの草を試食し、
一日に72回の毒に遭ったが、茶によって解毒された」
という言い伝えがあります。
このように生薬は命を懸けて先人たちの知恵により淘汰され、
幾千年もの長い歴史を経て効能が見直されながら今に残されています。
昔の漢方医と呼ばれる方々は、その偉大なる先人たちによる処方を
一から作り直すのではなくそれを活かしながら、
加減方により尊重し引継ぎ残されたそうです。
中国医薬学の略。中国の漢民族の医学(漢方)を中心とした伝統医学です。
その歴史は遥か、古代中国紀元前にまで遡ります。
中国の古代の哲学、文化の影響を色濃く受けて発展していきます。
よく日本では中国4000年の歴史といいますが、
その頃中国では歴史上、最初の国家が誕生していました。
のちに1000年以上の時を経て、『中医学』の原典ともいえる
中国最古の医学書「黄帝内経(こうていだいけい)」が著されています。
日本に漢方が伝わるのは飛鳥~奈良時代のことですので、
中国において『中医学』が非常に古い歴史をもつものなのだということが分かります。
長い歳月をかけて、様々な民族の歴史や文化、天文学、地理学、気象学、哲学の思想が
何層にも融合され、発展していったという所以にも深くうなづけます。
中医学(漢方)の最も大事な視点
それは「未病を治す」です。
中国最古の医学書『黄帝内経』には、
「故に聖人は、已病を治さず未病を治し、已乱を治さず未乱を治すという。
病になって初めて薬を施し、世の中が乱れてから政治を改革するのは、
渇いてから井戸を掘るようなもの、闘いが始まってから矢じりを作るようなもので、
すでに手遅れというものである」
(素晴らしい医師 は,已(既)に病気となってからではなく,
未病状態 から治療を始めるのだ という考え方)とあります。
「未病を治す」とは、
病気の発生を未然に防ぐという意味で、
病気の感染や広がり、病気の変化を予防するということ。
つまり、早期診断と早期治療ということでもあります。
病気になった、症状が出た、はあくまでも結果であって
そこから得られる情報をもとに、
どのように治療や養生をして
日常の健康管理につなげていくか
それがとても大事なことです。
数千年前から、予防医学は受け継がれています。
「未病を治す」という思想の根本的な方法は、
健康に注意し、
病気にかからず丈夫になるように養生すること。
それは、
体(肉体)体を保養すること
心(精神)を修養することです。
心と体ともに健やかに保つということです。